経済学を疑え!

お金とは一体何なのか?学校で教えられる経済学にウソは無いのか?真実をとことん追求するブログです。

儲かるビジネスは社会をより良くするか?

はじめに

「儲かるビジネスは何だ?どんなビジネスをやれば楽に儲かる?」

自分で事業を始めようとする人の多くは、そんな風に考えていますよね。

「どんなビジネスをやれば社会の役に立つ?」

こう考えて事業を始める人はあまり多くないかも知れませんが、とても立派な考え方です。

しかし、利益を出せなければ事業が続けられないことも事実ですよね。

利益を確保しつつ社会の役に立つビジネスを続けていくのは難しいことです。

 

みんなが利益を追求すれば社会は良くなるのか

「いやいや、とにかく利益を追求すればいいんだよ。利益が出るビジネスはそれだけ社会に求められてるってことだから、そのビジネスは社会を良くするはずだよ」

こんな風に言う人も居るでしょう。

この考え方のベースには、18世紀の経済学者アダム・スミスが提示した「皆が利己的に自分の利益を追求すれば、社会全体の利益が達成される」というテーゼがあります。

今でも多くの人がこれを信じているようですね。

しかしこのテーゼは明白なウソなのです。

今回の記事では、ビジネスというものを4つに分類することでそれを説明しましょう。

 

ビジネスの定義

人間が行う様々な活動を包括的に検討するため、ビジネスというものを最大限に広く定義しておきましょう。

ここでは、人間が目的を持って何かを行う活動をビジネスと呼ぶことにします。

儲かるかどうかは問いません。

家事や育児、ボランティア活動もビジネスです。

歌を歌ったり芝居をしたりなどの芸術活動も、たとえ儲からなくてもビジネスです。

また、政府が主導して行うこともビジネスとします。

全ての行政サービスはビジネスです。

さらに、合法かどうかも問いません。

詐欺や恐喝などもビジネスと考えます。

 

生産的なビジネスと非生産的なビジネス

ビジネスには、生産的なビジネスと非生産的なビジネスがあります。

生産的なビジネスは人々の役に立つモノやサービスを生産して提供します。

非生産的なビジネスは役に立つモノやサービスを全く生産しないか、ほとんど生産しません。

また、世の中に害をなすビジネスも非生産的なビジネスに含めます。

非生産的なビジネスの最たるものは、窃盗、詐欺、恐喝、強盗殺人、営利誘拐、海賊行為のような違法行為ですね。

違法行為にならない範囲でも、非生産的なビジネスは可能です。

転売ビジネスなどは非生産的と言えますよね。

 

儲かるビジネスと儲からないビジネス

当たり前の話ですが、ビジネスには儲かるビジネスと儲からないビジネスがあります。

問題は、儲かるビジネスと生産的なビジネスはイコールではないということです。

儲かるビジネスは、たとえ生産的なビジネスであっても何らかの形で搾取をしています。

利潤を得ることと搾取をすることは同じことだからです。

これについての説明は長くなるので割愛しますが、利潤の源泉は労働の搾取しかありえないことが数学的に証明されています。

興味のある方は「マルクスの基本定理」で検索してみてください。

儲かるビジネス=搾取的なビジネスなのです。

 

あらゆるビジネスを4つに分類する

様々なビジネスを生産的かどうか、儲かるかどうかの2つの軸で分類すると、4種類に分類できます。

つまり、生産的で儲かるビジネス、生産的で儲からないビジネス、非生産的で儲かるビジネス、非生産的で儲からないビジネスの4種類です。

生産的で儲かる……というのは長くて不便なので、これら4種類に以下のように名前をつけておきましょう。

  • 生産的で儲かるビジネス ⇒ 鬼ビジネス
  • 生産的で儲からないビジネス ⇒ 公益ビジネス
  • 非生産的で儲かるビジネス ⇒ 餓鬼ビジネス
  • 非生産的で儲からないビジネス ⇒ 徒労ビジネス

図にするとこんな感じです。

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社会全体に利益をもたらすのは生産的なビジネス

社会をより良くするのは生産的なビジネスです。

儲かるからと言ってみんなで餓鬼ビジネスに邁進しても社会が良くならないことは明白ですよね。

非生産的なビジネスを止めて全員で生産的なビジネスをやれば、生産されるモノやサービスの量が最大化され、社会はその時点で最も良い状態になるでしょう。

しかし、資本主義や新自由主義が蔓延するこの世界では儲けることが正義ですから、そうはなりません。

多くの起業家は鬼ビジネスか餓鬼ビジネスをやろうとします。

労働者としてビジネスに従事する場合も、賃金をより多くもらえる仕事に就こうとしますよね。

賃金をより多く払えるのは儲かるビジネスですから、多くの労働者も鬼ビジネスや餓鬼ビジネスに従事しようとします。

資本主義社会では放っておけば鬼ビジネスや餓鬼ビジネスが増えていくわけです。*1

 

鬼ビジネスが正義なのか

「餓鬼ビジネスが良くないことは分かった。じゃあ皆で鬼ビジネスをやればいいんだな」

こんな風に思うかも知れませんが、それもちょっと違うのです。

先ほども書きましたが、儲かるビジネスは搾取的ですから。

鬼ビジネスをやる事業家がとことん利益を追求すれば、庶民が搾取されて生活が相対的に苦しくなり、金持ちと庶民の格差が広がります。

たっぷり儲けた事業家がたっぷり税金を払うならまだいいのですが、そうもなりません。

資本主義社会において儲けることが“正しい”なら、損を避けることもまた“正しい”行動ですからね。

鬼ビジネスや餓鬼ビジネスでたっぷり儲けたら、可能な限り節税・脱税することが資本主義社会においては“正しい”行動なのです。

 

正義は公益ビジネスにあり

資本主義のルールを一旦忘れて本当に社会を良くすることを考えるなら、やはり正義は公益ビジネスにあります。

みんなで生産的なビジネスをして、しかも搾取をしないことが最善なのです。

そういう理想的な社会を作るのは非常に難しいことでしょう。*2

しかし、理想的な社会について考えることは無益なことではありません。

現状の社会の問題点を明確にして、その改善につなげることが出来るからです。

あなたも理想郷について考えてみませんか?

 

そうは言ってもお金は必要

ともあれ、この資本主義社会に生きている以上、お金はどうしても必要です。

お金を稼ぐためにはビジネスを自分でやるか、労働者としてビジネスに従事しなければなりません。

その際にどうしても非生産的なビジネスに関わらざるを得ないことも多いでしょう。

非生産的なビジネスで働くな、と言うことは誰にも出来ません。

しかし非生産的なビジネスで働く場合には、そのビジネスそれ自体はあまり世の中の役に立っていないことを認識しておいた方が良いでしょう。

お金を得るための手段だと割り切ってください。

手段としてお金を得て、そのお金で自分や家族を養えば、それは立派な“生産的なビジネス”です。

家族を養っていることは誇るべきことでしょう。*3

さらにボランティア活動などの公益ビジネスをするなら、それはとても素晴らしいことです。

非生産的なビジネスに従事していること、それ自体は誇るようなことではないでしょう。

 

まとめ

この記事の主題に戻りましょう。

アダム・スミスは「皆が利己的に自分の利益を追求すれば、社会全体の利益が達成される」と言いました。

しかし、世の中には非生産的なビジネスがあります。

そのようなビジネスは社会全体の利益に貢献しません。

また、生産的なビジネスであっても利益を追求することは搾取を強めることです。

強い搾取は庶民を困窮させ格差を拡大しますから、社会全体の利益が達成されるとは言えません。

以上より、「皆が利己的に自分の利益を追求すれば、社会全体の利益が達成される」というアダム・スミスのテーゼは明白なウソ(偽)です。

 

付録:ビジネス4分類詳細

whatsmoney.hateblo.jp

 

*1:公益ビジネスも営利事業であれば鬼への“進化”を目指します。

*2:共産主義は現状、失敗したように見えます。

*3:家族を持って養うことは筆者には出来ていないことです。それが出来ている人は仕事が何であれ尊敬に値します。