経済学を疑え!

お金とは一体何なのか?学校で教えられる経済学にウソは無いのか?真実をとことん追求するブログです。

ロボットで考える転売行為の有害性

はじめに

転売行為は社会全体にとって有益な行為でしょうか。

ごく普通の感覚を持っている人なら、転売行為は社会にとって有害だと感じているでしょう。

しかし多くの経済学者や市場原理主義者はそう考えないようです。

今回の記事では、転売行為が社会にとって有害であることの分かりやすい説明を試みます。*1

なお、ここで問題とする転売行為はプレステ5等のゲーム機、コンサート等のチケット、ガンプラ*2、マスク*3、同人誌などの転売です。

つまり、最終消費者が商品を買える(買うチャンスが得られる)環境が整っているにも関わらず、最終消費者と販売者の間に割り込んで利益を得ようとする行為を問題としています。

 

転売行為をするロボット

転売行為をするロボットを考えてみましょう。

あるロボット工学の博士が自分の家で、転売行為をするロボットを2体作ったとします。

このロボットは、いわゆる転売ヤーと同じように転売行為を行います。

利益が見込める商品を実店舗(やネット上)で購入し、ネット上で高値で販売するわけです。

 

 

実店舗でロボットが商品を売ってもらえるだろうか?と心配する人もいるかも知れませんね。

仮に、ロボットにも商品を自由に買える権利があり、お金を支払う限り相手は売ることを拒否できないものとしましょう。

それならロボットにも転売行為が出来ますよね。

なお、このロボットは自分でコンセントから充電を行うことが出来ますし、自分で機械油を注してメンテナンスすることも出来ます。

また、一体が故障しても、もう一体が部品を調達して取り替えることで修理することが出来ます。

誰も管理する人がいなくても、勝手に動き続けることが出来るわけです。

また、人間は転売行為をしないものとしましょう。

 

転売の利益をどうするか

ロボットは転売で得た利益をどうするでしょうか。

普通に考えれば、この利益はロボットの所有者のものになりますよね。

しかし、このロボットを作った博士は自宅で人知れず亡くなったとしましょう。

所有者がいなくなったので、得た利益を自分たちで使えるようになります。*4

このロボットたちは、転売で得た利益から電気料金を支払い、機械油を買って自分たちに注します。

また、壊れた部品があれば買って交換することで修理します。

所有者がいなくても勝手に自分たちの世話をして、転売行為を続けるわけです。

 

全体的な経済はどうなるか

ロボットたちが一定の期間(たとえば1年間)転売行為をした時、この期間の全体的な経済はどうなるでしょうか。

このロボットたちは、人類が消費できるモノやサービスを何も生産していません。

こう言うと、次のように反論する人が居るでしょう。

「転売ロボットは、高い価格でも支払える人が便利に商品を購入できるサービスを提供している。利益の分だけ付加価値を作り出したのだ」と。

普通の人は転売行為で商品に価値など付加されないと感じるでしょうが、納得しない人も多いでしょう。

この点は次回の記事で改めて論じることにして、とりあえず今は転売ロボットが何も生産していない前提で考えます。

 

whatsmoney.hateblo.jp

 

転売ロボットは何も生産していない一方で、電力、機械油、部品を消費します。

これらの電力、機械油、部品は人類が生産したもの*5ですから、人類が生産したものの一部を転売ロボットたちが消費していることになります。

そうすると、転売ロボットが居ない方が人類全体にとっては良いですよね。

転売ロボットが居なければ、人類が生産したものを全て人類が消費できるのですから。

 

増殖する転売ロボット

転売ロボットは余ったお金で部品を一揃い購入し、それを自分たちで組み立てて新たな転売ロボットを作ることが出来るとしましょう。

つまり、放っておいても勝手に転売ロボットが増えていくわけです。

ロボットが増えれば増えるほど、人類が生産したのにロボットが消費する生産物が増えていきます。

ロボットは無限に増えていくわけではありません*6が、転売で十分な利益が出ている限りは増えていくでしょう。

人類はこのロボットの増殖を放置していて良いのでしょうか。

たくさんの転売ロボットが居る状況では、人類は自分たちで生産したものを手に入れるために余計なプレミアム価格を支払うことを余儀なくされます。

もちろん個々の最終消費者はその価格に(しかたなく)納得して支払っているのですが、全体としてみるとバカバカしい話ですよね。

皆が(しかたなく)余分に支払ったお金は転売ロボットたちの維持に使われて、それゆえに将来もずっとプレミアム価格を支払わされ続けるのですから。

人類全体で考えるなら、転売ロボットが居ない方が良いことは間違いないでしょう。

 

金持ちがどうしても欲しいなら

転売ロボットが居なくて問題があるとすれば、個々の金持ち(予算が多い人)が欲しい商品をプレミアム価格で入手できなくなることでしょうか。

しかし金に糸目をつけないのであれば、商品を手に入れた最終消費者に取引を持ちかけて、その相手が納得する価格を払えばいい話ですよね。*7

その相手は手に入れた商品を本当に消費したい人なので、かなり高い金額を提示しなければ手放さないでしょう。

しかし、相手の手放したくない気持ちをねじ伏せるだけの金を出せばいい話です。

こうすれば、転売ロボットたちに人類の生産物を奪われることがないし、商品を手放す人も迷惑料を受け取れて満足でしょう。*8

 

転売ロボットは寄生虫

結局、転売ロボットたちは人類に寄生する寄生虫のようなものなのです。

人類から生産物を奪う一方で、何も与えてくれませんからね。

税金を使ってでも、転売ロボットたちを捕まえて“駆除”した方が良いでしょう。

あるいは単に、転売ロボットが持っている「商品を自由に買える権利」を剥奪するべきでしょう。

 

それとも、転売ロボット問題は販売者がそれぞれなんらかの工夫をして対処すべきであり、政府は何もしないことが望ましいのでしょうか?

そんなわけないですよね。

明らかに、駆除や権利の剥奪(=転売の違法化)などの公的な対応が必要です。

 

人間に置き換えて考える

この転売ロボットがやっていることを、人間がやったらどうなるでしょうか。

ある一組の夫婦が転売ヤーとなって転売行為を行い、その利益の一部を自分たちの最低限の衣食住に使います。

さらに余ったお金で、子供を産み育て、最低限の教育を行い、転売を教えて転売ヤーにします。*9

最初から高等教育を行わない前提なら、普通の夫婦より多くの子供を産み育てることが出来るでしょう。

また、子供の転売ヤーが結婚したら、同じように子供を多く作って転売ヤーに育てるものとしましょう。

そうすると、転売ヤーは転売ロボットと同じようにどんどん増えていきます。

この転売ヤーたちの集団は、人間にとって役に立つものを何も生産せず、他の人々が生産したものを消費するだけです。

 

転売ヤーは無駄メシ喰らい

転売ヤーはロボットではなく人間であり、人類に含まれますので、寄生虫というのは言い過ぎです。

しかし、控えめに言って無駄メシ喰らいですよね。

彼らを“駆除”するわけにはいきませんが、少なくとも「商品を自由に買える権利」を制限し、転売目的では商品を買えないようにした方が良いのではないでしょうか?

そうすれば彼らは転売ヤーを辞め、人々にとって有益な何かを生産する活動を始める可能性があります。

その方が人類全体にとって有益なのではないでしょうか?

それとも、転売ヤーたちが増殖していく状況を放置して、人々がプレミアム価格で商品を買わざるを得ない状況を甘受するべきなのでしょうか。

皆が(しかたなく)余計に支払ったお金は転売ヤーたちの維持に使われ、それゆえに将来もずっとプレミアム価格を支払わされ続けるのですが。

私には答えは明白であるように思われます。

ごく普通の感覚を持っている方々も同意してくれるでしょう。

経済学者の方々はいかがでしょうか?

 

*1:本当に欲しい人とは誰なのか?それをどう測るのか?というような話はしません。

*2:ガンダムのプラモデルのことです。プラモデルの中でもガンプラは特に人気が高く、転売ヤーのターゲットになります。

*3:マスクが供給不足になった一時期だけのことですが、高額転売が行われました。

*4:そのようにプログラムされています。

*5:生産に機械やロボットが関わっていても、その機械やロボットに所有者がいる限り、その所有者が生産したものと見なせます。

*6:人類の数に対してロボットの数が多すぎると十分な利益を出せません。転売の利益の総計が、電気代、機械油の代金、修理用の部品代の総計と均衡する(=新たなロボット用の部品代が出せない)ところで増殖が止まるでしょう。

*7:より現実的には、「○○円で買います。売ってくれる人は連絡ください」という風にSNSなどで呼びかければ良いでしょう。あるいは、そのように最終消費者同士で売買するマーケットを作れば良いのです。

*8:転売ロボットが先回りして商品を確保する場合には、そのせいで入手できなかった人は迷惑料を受け取れません。

*9:実際には子供を産み育てるまでもなく、転売のノウハウを他者に伝えることで転売ヤーは増えていきます。