私たちはこんな風に搾取されている
生産物を入れずに取る人
前回、私たちが生産物プールから取り出す生産物の量は、プールに入れる生産物の量より少ないという話をしました。
私たちは生産物を搾取されているということです。
「私たち」というのは誰を指しているかというと、ざっくり言えば労働者ですね。*1
労働者は労働をプールに入れて賃金を受け取り、そのお金を支払って商品をプールから受け取ります。
この入れた生産物(労働)の量と受け取った生産物(商品)の量を、正しく(同一の評価方法で計って)比較すると、受け取った生産物の方が少ないわけです。
この差分が、生産物を入れずに取る人(=不労所得者)の取り分になります。
不労所得者の取り分のことを、非生産分配と呼ぶことにしましょう。
非生産分配はどのように生じるのでしょうか。
4種類の非生産分配
私の言う非生産分配は大きく分けて4種類あります。
・財産による不労所得(で買われる生産物)
・政府による再分配(で買われる生産物)
・貯金の取り崩し(で買われる生産物)
・借金(で買われる生産物)
この記事で問題にしたいのは1つ目、財産による不労所得、一言で言えば“利潤”です。*2
私が言いたいのは「利潤の源泉は搾取だ」ということです。
残りの3つについては特に問題が無いということを別記事(付録)で説明します。
財産による不労所得
この記事で問題にしたい1つ目の非生産分配、それは財産による不労所得(で買われる生産物)です。
財産というのは具体的に言うと、土地、不動産、債権、株などです。
これらを持っていれば、寝ていてもお金が入ってきますよね。
土地を持っていれば地代が、不動産を持っていれば家賃が入ってきます。*3
債権を持っていれば金利が入ってきます。
株を持っていれば配当金が入ってきます。*4
私に言わせれば、これらは全て搾取です。
財産を持っていると搾取が出来るわけです。
財産とは搾取する権利のことであり、“搾取権”と言い換えてもいいでしょう。
搾取は悪なのか?
このように言うと、貴方は疑問に思うでしょう。
地代や金利を受け取って何が悪いのか?
企業が儲けを出して何が悪いのか?配当金を受け取って何が悪い?と。
別に何も悪くないです。
この資本主義社会はそういうルールになっているのですから。
ルールの中でゲームをしている限り“ルール違反・違法行為”という悪は何もしていません。
しかしこの記事を読んでいる貴方には、もっと根本的なことを考えてほしいのです。
今の世の中では(私の言う)搾取権によって搾取することが正当化されています。
本当にそれで良いのでしょうか?
“お金に働いてもらう”という欺瞞
『金持ち父さん貧乏父さん』をはじめとする金持ち本には、こんなことが良く書いてあります。
“お金のために働くのではなく、自分のためにお金を働かせよう”
これは、お金を生む資産をお金で買って、その資産から収入を得ようという意味です。
でも、実際にはお金それ自体は働きませんよね。
札束が立ち上がって土を耕しているのを見たことがある人はいないはずです。
言葉でどうごまかしても、誰かしら人間が働いているんです。
“お金を働かせよう”という言葉は、本当はこんな意味です。
「お金のために働かざるを得ない人々を働かせて搾取しよう!(お金を貯めて搾取権を買えばそれが出来る)」
このように表現すれば、「ん? それはちょっと、倫理的にどうなの?」と感じないでしょうか。
“お金を働かせる”という表現は、搾取の本質を巧妙に隠しています。
地代の正当性を疑う
土地の所有者である地主は、生産物プールに何も入れることなく生産物を受け取ることが出来ます。
地代を搾取できるからです。
以下の記事で地代の正当性について考えていますので、興味があれば読んでみてください。
金利の正当性を疑う
債権の所有者、いわば金主は、生産物プールに何も入れることなく生産物を受け取ることが出来ます。
金利を搾取できるからです。
以下の記事で金利の正当性について考えていますので、興味があれば読んでみてください。
次回、ビジネスによる儲けの正当性について考えます。