経済学を疑え!

お金とは一体何なのか?学校で教えられる経済学にウソは無いのか?真実をとことん追求するブログです。

イングランド銀行が貨幣創造を解説

イングランド銀行の四季報で、銀行がお金が作っていることを解説する記事が掲載されました。

題名は「現代の経済における貨幣創造(Money creation in the modern economy)」です。

信用創造(credit creation)」ではなく、「貨幣創造(money creation)」という言葉を使っていることは注目に値します。

私は以前から「信用創造」という言葉に違和感を感じていましたが、信用創造で作っているモノはずばり「お金」なのですから、「信用創造」ではなく「貨幣創造」と呼ぶのが本来ふさわしいのです。

「お金を作っている側の人々」にとって、銀行によるお金の作り方というのは「手品のタネ」であり、観客にわざわざ教えるなどもっての外だったはずです。

この記事が英国の中央銀行から出てきたことは、非常に画期的なことだと言えるでしょう。

今回、この記事の概要(Overview)部分を和訳してみましたので、興味のある方は読んでみてください。

誤訳等ありましたらコメント等でお知らせ頂ければ幸いです。


現代の経済における貨幣創造

現代の経済では、ほとんどのお金は、銀行預金の形をとる。

しかし、それらの銀行預金がどのように作成されるのかはしばしば誤解されている。

主要な方法は、市中銀行が貸し付けをすることによってなのだ。

銀行が貸し付けをする時には常に、銀行は、借り手の銀行口座に同額の預金を同時に作り出す。そのようにして、新しいお金を作るのだ。


お金が今日どのように作成されるかの現実は、いくつかの経済学教科書で見つかる記述とは異なる:

  • 家計が貯蓄する時に銀行が預金を受け取りそれを貸し出していると言うより、むしろ銀行の貸し付けが預金を作り出しているのだ。
  • 平常時には、中央銀行は流通する通貨の量を調整しない。また、中央銀行のお金(訳者注:マネタリーベース)は“掛け算で増やされて”より多くの貸し付けや預金になっているのでもない。

市中銀行は貸し付けによってお金を作り出すが、彼らはそれほど自由に、制限無しにそうすることは出来ない。

銀行は、もし彼らが競争的な銀行システムの中で利益を確保し続けようとするなら幾らまで貸し出せるのか、に制限されるのだ。

慎重な規制もまた、金融システムの回復力を維持するために、銀行の活動上の制約として働く。

また、新しい貸し付けにより作成されたお金を受け取る家計および企業は、マネーストックに影響するような行動を起こすかもしれない。例えば、彼らは既存の債務を返済するためにそれを使用することにより、即座にお金を「破壊」するかもしれない。


金融政策は貨幣創造に対する最終的な制限として働く。

イングランド銀行は、経済の中での貨幣創造の量を、低く安定したインフレ率と調和させることを目標とする。

平常時には、イングランド銀行は中銀準備預金の利率を設定することにより金融政策を実行する。

その後これは、銀行貸し付けの利率を含む経済での一連の利率に影響を及ぼす。

例外的な状況で、利率がそれらの有効な下限にある場合、中央銀行の貨幣政策目的と調和させるには、経済での貨幣創造および支出はまだ低すぎるかもしれない。

可能な対応の1つは、一連の資産購入、あるいは「量的緩和」(QE)を試みることである。

QEは、主としてノンバンクの金融会社から資産を購入することにより、経済の中でのお金の量を直接増やすことを意図している。

QEは、最初にそれらの会社が持つ銀行預金の量を増加させる(彼らが売る資産の代わりに)。

すると彼らは、より利回りの高い資産を購入して、資産のポートフォリオを組み直そうとするだろう。それにより資産の価格が上がり、経済での支出を刺激するのだ。

QEの副産物として、新しい中銀準備預金が作り出される。

しかし、これらは波及経路の重要な部分ではない。

この記事では、平常時にこれらの準備預金が掛け算で増やされてより多くの貸し付けや預金になるというわけではないということ、また、これらの準備預金が銀行にとって「自由なお金」であることを意味しないということを説明する。