「オンラインカジノって知ってる?」
「ネット上のカジノってこと?」
「そうそう。パソコンやスマートフォンでネットにつないで、カジノのゲームが出来るんだよ」
「へぇ。本当のお金を賭けられるの?」
「そうだよ。換金できないチップで遊ぶこともできるけどね」
「ふーん。日本ではギャンブルは禁止されてるよね」
「そうだね。海外にサーバがあって日本からプレイする場合はセーフだと言う人も多かったけど、やっぱり違法みたいだね」
「じゃあ、日本では遊べないの?」
「少なくとも建前上は、そういうことになるね。今回は、日本でプレイすることの違法性についてはおいておこう」
「ふむ。じゃあ何の話?」
「オンラインカジノに預けたお金は必ず戻ってくるのかという話だ」
「ふーん。もしオンラインカジノが破綻しちゃったら戻ってこない気がするけど」
「その通りだね。でも、破綻した時に『預けたお金』が戻ってこなかったとしたら、そのオンラインカジノは悪質な経営をしていたことになる」
「悪質な経営?どうして?」
「プレイヤーから預かったお金を自社の資産と分別管理していなかったからだよ」
「分別管理とは」
「本来、『預かったお金』というのは使ってはいけないお金だよね」
「そうね」
「だから、自社の資産とは別にして持っていなくちゃいけない」
「ふむ」
「別にして持っていれば、破綻しても預かったお金は返すことが出来るよね」
「確かに」
「それが出来なかったとしたら、分別管理をしていなかったということだよ」
「なるほど」
「このように、預かり資産を自社の資産と分別管理せずにごっちゃにしてしまうことを、預かり資産の混同管理と呼ぶことにしよう」
「ふむふむ」
「結論としては、オンラインカジノがプレイヤーからの預かり資産を分別管理している場合は必ず戻ってくると言えるけど、混同管理している場合は戻ってこない可能性があるってこと」
「ふむ。当たり前っちゃ当たり前の結論だったわね」
「うん。これは、オンラインカジノに限った話ではなくて、証券会社だろうが先物会社だろうが同じことなんだ」
「ははぁ。証券会社なんかは、お客さんから預かったお金をちゃんと分別管理してるわけね」
「その通り。もし証券会社が混同管理をしていてバレたら大問題になる」
「でしょうね」
「ところが、世の中にはこの混同管理を堂々とやっている業種があるんだよ。分かるかな?」
「……はて」
「銀行業だよ」
「あー……。そう……なのかな……??」