はじめに
前回は、どんな労働者がスライム(資本)にとって都合の良い労働者なのか、良い労働者の資質とは何かを考えました。
今回は同じことを消費者について考えます。
スライム(資本)にとって、どんな消費者が都合がいいでしょうか。
良い消費者=浪費家
スライムは商品を売ってお金に換えることで大きくなります。
したがって、どんどん商品を買ってくれる人、高い値段でも買ってくれる人が“良い”消費者です。
お金を浪費してくれる人が、スライムにとって望ましい消費者だということです。
当たり前の話ですね。
これだけでこの記事を終えてもいいくらいですが、もう少し突っ込んで考えてみましょう。
2種類の浪費
浪費を2種類に分類してみます。
能動的な浪費と、受動的な浪費の2つです。
能動的な浪費とは、必要でない商品や高すぎる商品を、自分から主体的に「これが欲しい」と思って買うことです。
それに対し受動的な浪費とは、自分では欲しいと思っていなかった商品を、売り込みに負けて買ってしまったり、騙されて買ってしまったり、周囲に流されて買ってしまうことです。*1
“良い”消費者の5つの資質
能動的な浪費や受動的な浪費につながるような、良い消費者の資質について考えてみましょう。
1.比べたがり
自分と他人とを比べて喜んだり悲しんだりすることが多い人を、比べたがりな人と言うことにしましょう。
比べたがりな人は良い消費者です。
たとえば見栄っ張りな人ですね。
見栄っ張りな人は自分が周囲の人と比べて優れていることをアピールするために、無理をしてでも高い商品を買いがちです。
こういう人はしばしば商品の本当の価値よりも「高額の出費が出来る」ことをアピールしたがるため、高い価格設定をした方がむしろ売れる場合があります。
超優良な消費者だと言えるでしょう。
また、自分の顔や体などにコンプレックスを持っている(他人と比べて悲しむ)人は、そのコンプレックスを解消しようとして高額な商品やサービスを購入します。
比べたがりは能動的な浪費につながるわけです。
2.新し物好き
新し物好きな人は良い消費者です。
新製品が出ればすぐに欲しくなって買ってしまうわけですからね。
また、最新の流行を追いかけて新しい洋服などを次々に買う人も良い消費者ですね。
欲しい物が中古で安く手に入るのに新品を買いたがる人も、新し物好きと言えるでしょう。
新し物好きは能動的な浪費につながります。
3.面倒くさがり
面倒くさがりな人は良い消費者です。
何かやりたいことがある時に、自分の力で何とかしようとせずに、お金で買える商品やサービスに頼ってしまうからです。
たとえばダイエットは別にお金をかけなくても出来ますが、そうせずに「飲むだけで痩せるサプリ」などを買う人がいますよね。
面倒くさがりだとすぐに“お金で解決”しようとするわけです。
また、セールスを受けた金融商品を自分でよく調べもせずに買ってしまうのも面倒くさがりな人です。*2
面倒くさがりは能動的な浪費と受動的な浪費の双方につながります。
4.頭が悪い
頭が悪い人は良い消費者です。
「頭が悪い」を具体的に言うと、以下のようなことです。
- 計算ができない
- 論理的、合理的に考えられない
- 科学的思考が出来ない
- ずる賢さが無い
こういう人は騙されやすいので、必要ないサービスや効果の無いものでも高い値段で買ってくれます。*3
頭の悪さは能動的な浪費と受動的な浪費の双方につながります。
5.心が弱い
心が弱い人は良い消費者です。
多少強引なセールスでも、押せば断れずに買ってくれますからね。
心が弱い人の不安をあおれば、不要な保険の契約をしてくれたり高い壺を買ってくれたりします。
また、自制が出来ない人も心が弱いと言えるでしょう。
パチンコは止めるべきだと頭では分かっていても止められずにお金をつぎ込む人は良い消費者です。
心の弱さは主に受動的な浪費につながります。
良い労働者と良い消費者は両立するか
いくらスライム(資本)にとって都合のいい浪費家でも、その手元に使えるお金が無ければ消費は出来ません。
消費に使うお金はふつう、労働で得た賃金ですから、良い労働者が同時に良い消費者でもあれば好都合です。
良い労働者であることと、良い消費者であることとは、両立するでしょうか。
もちろん両立します。
皆さんの周りにも、稼いだお金をどんどん消費に回している人はたくさんいるでしょう。
しかし、特に優良な労働者が、同時に特に優良な消費者でもあることはほとんど無いはずです。
なぜなら、優良な労働者は頭が良いのに対し、優良な消費者は頭が悪いからです。*4
優良な労働者が稼いだお金をそっくり優良な消費者に渡してくれれば、スライムにとって都合がいいですね。
結婚という制度にはそういう狙いがある、と言ったら言い過ぎでしょうか。*5