経済学を疑え!

お金とは一体何なのか?学校で教えられる経済学にウソは無いのか?真実をとことん追求するブログです。

権威を信じる人、権威を疑う人

信奉者と懐疑者

人間は大きく分けて二種類に分類できる。

一つは権威を信じる人であり、もう一つは権威を疑う人だ。

 

 

ここで言う権威とは何か、定義しておこう。

権威には政治的な権威と科学的な権威とがある。*1

政治的な権威というのは各国の政府とその下部組織のことであり、国際連合とその下部組織のような国際機関もこれに含めることにする。

具体的には、厚生労働省FDAアメリカ食品医薬品局)、WHO(世界保健機関)などが政治的な権威だ。

科学的な権威というのは、科学者の中でも大きな影響力を持っている人々や有名な論文誌のことだ。

ノーベル賞学者、研究機関、大企業の研究部門、医師会、各分野の専門家とされる人なども科学的権威に含めることにする。

さらに、主要なマスコミも権威の一つと考えてもいいだろう。*2

ただし、マスコミは権威がスピーカー(拡声器)として利用する二次的な権威だ。*3

これらの権威を信じる人のことを信奉者、権威を疑う人のことを懐疑者と呼ぶことにする。

 

私たちは教育で信奉者になる

政府が国民に対して行う教育は、国民を信奉者にしようとする*4ため、我々は基本的に信奉者となる。

信奉者が懐疑者に転向するには、なんらかのきっかけが必要だ。

権威に裏切られた経験がある人は懐疑者になる可能性が高いだろう。

たとえば、政府を信じてワクチンを接種した直後に体調がおかしくなり、ろくに歩くことも出来なくなったという人は懐疑者になるはずだ。

あるいは、既に懐疑者になっている人からの影響で懐疑者になることもある。

一方、懐疑者が信奉者に転向することはほとんど無いだろう。

なぜなら、信じていたものを一度疑い出すと、今までは何とも思っていなかった様々なことが疑わしく思えてくるからだ。

たとえば、信じていた恋人の浮気を一度疑いだしたら色々なことが疑わしく思えてきて、以前のように信じている状態に戻ることは出来なくなるだろう。

日本においても懐疑者が少しずつ増えている印象があるが、まだまだ信奉者が多数派だ。

なお、信奉者は懐疑者を「陰謀論者」と呼ぶことが多い。

 

科学的権威を信じるということ

科学的権威を信じる人と疑う人が居るという話をすると、こう思われるかも知れない。

「科学は信じるのが正しいだろう。科学を疑うのは頭の悪い人間だけだ」と。

私は科学を信じるか否かの話をしているのではない。

科学は信じて構わない。

たとえば電磁気学にはオームの法則という法則があって、電圧、電流、抵抗の関係が数式の形で表されている。

この法則が正しいことは大勢の人々によって繰り返し確かめられ、また利用されてきたのであり、誰かがでっち上げたウソだとは考えられない。

オームの法則という“科学”は信じて問題ないし、疑っても意味がない。

これに対し、“科学的権威”を疑うことには意味がある。

たとえば、ある研究機関が新しいワクチンの治験を大規模に実施してデータを取りまとめ、「95%の効果があり、安全性も問題ない」という結果を出したとする。*5

この結果はもしかしたらでっち上げられたウソかも知れない。

これが本当に正しいのかどうか、別のグループが改めて治験を実施して確かめることは事実上不可能だ。

必要な資金を誰も出してくれない。

仮に資金があったとしても、規制当局が最初の治験結果を真に受けて“緊急承認”してしまったら、ワクチンが市場に出て取り返しのつかないところまで行ってしまうだろう。

だから、信じるか疑うかの問題になってしまう。

科学的権威を信じるか疑うかというのはこういう話なのだ。

 

信奉者はこう考える

信奉者は、権威と言える人や組織が誠実に行動していると思っている。

そうでなければ権威を信じることは出来ないはずだ。

厚労省やWHO、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)、FDAなどといった権威がデタラメを言うはずはない。

これらの組織が言うことを素直に信じて従っていれば、自分たちはより安全に生きることが出来るはずだと信じている。

また、有名な論文誌に掲載された論文にウソが書かれていることも無いと考えている。

こうした論文の要約を専門家とされる人物がツイートしていれば、もちろんそれを信じる。

信奉者は、世の中の人々は基本的に善人として行動しているのであり、悪を為す人はごく一部だけだと考えているだろう。

 

懐疑者はこう考える

懐疑者は、権威側の人間が誠実に行動しているかどうかを疑っている。

厚労省FDAのような権威に属する人間が、私的な利益を得るために人々の信頼を裏切っているのではないかと考えているのだ。

懐疑者は、世の中には少なくない数の悪人がいると考えているだろう。

ここで悪人というのは、他者を害したり信頼を裏切ったりして私的な利益を得る人のことだ。

悪人がごく一部の人間(裏社会に生きているような人)だけであると想定するなら、権威と言える人や組織に悪人はほとんど居ないと考えて良いだろう。

そうではない、表の社会にも普通に悪人は存在するのだ、と懐疑者は考えている。

 

4割の人は潜在的に悪人である

ここでとつげき東北氏の殺人ボタンの話を思いだそう。

ボタンを一回押すと自分とは無関係な誰かが一人殺され、一万円が得られる。

このボタンを押す人は他者を害して利益を得る人であり、先ほどの悪人の定義に当てはまる。

凸さんが実施したアンケートの結果によれば、このボタンを1000回ぐらい押す人が11%、3万回以上押す人が28%いた。

つまり、39%の人は潜在的には悪人であることが分かる。*6

バレたり捕まったりするリスクが無いと判断できる場合であれば悪を為すという人が4割も居るのだ。

この潜在的な悪人は権威と言える人や組織にも同等の割合で存在するだろう。*7

ただし、この潜在的な悪人が実際に悪人として行動するかどうかが問題だ。

法律や組織のルール、あるいは個人の道徳がきちんと機能していれば、悪人としての行動を控えるだろう。

つまり、国家や組織や個人の自浄作用が上手く機能していれば問題ない。

これらの自浄作用が十分に機能していない場合、権威は悪を為す可能性がある。

 

ワク推と反ワク

もちろん、世の中の人間が信奉者と懐疑者の二つに綺麗に別れるわけではない。

あるトピックに関しては権威を疑う人でも、別のトピックに関しては権威を信じているということは十分あり得る。

ワクチンというトピックを考えた時、権威を信じる人はワクチン推進派(ワク推)と呼ばれ、権威を疑う人は反ワクチン派(反ワク)と呼ばれるのだ。

反ワクと呼ばれる人々は決して一枚岩ではない。

たとえば反ワクの中には新型コロナウイルスの存在そのものを疑っている人もいるし、そうでない人もいる。

ワクチンが人口削減の手段として使われていると思っている人もいるし、そこまでは疑っていない人もいる。

ワクチンの中にマイクロチップが入っていると思っている人もいる。

マスクには感染を防ぐ効果があると思っている人もいるし、無意味だと思っている人もいるし、むしろ有害だと思っている人もいる。

様々な人が様々な視点で権威を疑っているため、反ワクに統一見解のようなものは無いのだ。

これに対しワク推は権威を信じているため、権威側の見解がそのままワク推の統一見解になる。

ただし、権威側の見解は時間と共に変化しているようだ。

当初、ワクチンには高い感染予防効果があるとされていたが、今では感染予防効果がほぼ無い*8ことを権威側も認めざるを得なくなりつつある。*9

現在では、「ワクチンは感染を予防するものではないが、重症化を予防する効果がある」とされることが多い。*10

ワクチンの接種キャンペーンが始まった頃、「これを皆が打っても感染は広がりますが、重症化は防げます」などとは決して言われていなかったことは、ワク推の人々も良く認識しておいた方が良いだろう。

 

あなたはどう生きるか

信奉者として生きるのと、懐疑者として生きるのと、どちらが良いだろうか。

どちらにもメリットとデメリットがある。

信奉者として生きるメリットは何より“楽だ”ということだ。

あまり深く考えることなくただ権威を信じて従っていれば良いのだから、楽に決まっている。*11

これに対し、権威を疑うことにはかなりコストがかかる。

特に時間というリソースをかなり使わなければ「疑う」ということは出来ない。

余計な時間を使うはめになることは、懐疑者として生きるデメリットだ。

特に、権威が本当に誠実に行動していて人々を裏切ることが全く無いのだとすれば、疑うのに使っている時間はドブに捨てていることになってしまう。*12

逆に、権威が人々を裏切って悪を為している場合には、懐疑者はその裏切りによる被害から逃れることが出来るだろう。

これが懐疑者として生きるメリットとなる。

信奉者として生きている場合には、権威が悪を為す場合の被害をまともに受けることになるだろう。

たとえば、反ワクが主張するようにワクチンそれ自体が毒と言って良いようなものである場合、接種した人は何らかの健康被害を受けることになる。

これが信奉者として生きるデメリットだ。

あなたはどう生きるだろうか。

 

*1:3つ目の権威を挙げるなら宗教的な権威だが、今回の話にはあまり関係しないので触れないことにする。

*2:政府や科学的権威は信じてもマスコミは信じないという人も居る。この意味でマスコミは権威としては二流だ。

*3:権威に利用されないマスコミも小規模ながら存在する。

*4:たとえば、あなたは政府に税金を払うのは当然のことだと教育されたはずだ。政府という権威を信じろということだ。

*5:実際には治験は終わっておらず、データをカットオフして出した“途中経過”に過ぎなかったのだが。

*6:何度か押すと答えた14%の人も加えれば53%だ。

*7:周囲の人間を踏みつけにして出世する人が居ることを考えれば、権威の上層部では悪人の割合がもっと高いかも知れない。

*8:むしろ逆効果になるというデータもある。

*9:ウイルスが変異したからそうなったのだとワク推は言うかも知れないが、そもそもRNAウイルスはすぐ変異するからワクチンで押さえ込むことは不可能だと反ワク側の学者は主張していたのだ。

*10:重症化を予防することが“期待される”などというふわっとした表現も良く目につく。

*11:科学的権威をただ信じて従っているだけなのに、自分は科学的な考え方が出来ると思っている人が信奉者には多いようだ。

*12:そうだとしても、頭の体操にはなるだろう。