スライムにとって都合のいい資本家の6つの資質
はじめに
前回、資本とは自分で大きくなっていこうとするスライムのようなモンスターであり、資本家はスライムの操縦者(パイロット)だという話をしました。*1
スライム(資本)はパイロット(資本家)や労働者などの人間を利用して、どんどん大きくなっていくわけです。*2
では、どんなパイロットがスライムにとって都合の良いパイロットなのでしょうか。
今回はそれを考えてみましょう。
“良い”パイロットの5つの特徴
スライム(資本)にとって、どんなパイロット(資本家)が都合がいいでしょうか。
スライムから見て理想的なパイロットの特徴を列挙してみましょう。
1.金儲けが上手い
スライムはどんどん大きくなりたいのですから、その操縦者としてはお金を儲けるのが上手い人が望ましいでしょう。
スライムを操縦する人がお金を儲けるのが上手ければ、スライムはだんだん大きくなっていきますよね。
2.金集めが上手い
また、投資家や銀行などからお金を集めるのが上手い人が望まれます。
投資家にお金を投資してもらったり、銀行にお金を貸してもらえれば、その分だけスライムの体が大きくなるからです。*3
3.すぐ行動に移す
金儲けや金集めが上手かったとしても、ダラダラしているのではダメです。
金儲けや金集めのために今やるべきことを、次々に素早く行動に移す人が良いでしょう。
なぜなら、活発に活動するスライムと動きの遅いスライムがいた場合、遅い方が競争に負けてしまうからです。
4.周到・計画的である
パイロットとして何か事を為す際には、そのための準備が整っていなければなりません。
いくらすぐに行動すると言っても、行き当たりばったりに行動しているのでは上手くいきませんよね。
準備を整えてから次の行動に移る、という周到さが良いパイロットには必要です。
また、資金管理を計画的に行うことも重要です。
一時的にでもお金が尽きてしまうと、スライムが突然死してしまうこともあるからです。
5.質素・倹約に努める
また、パイロットとして多くの報酬を望まず、自らは質素・倹約に努める人が好ましいでしょう。
大きな利益を出してもその大半を報酬として取って浪費してしまうのでは、スライムは大きくなれません。
利益はすべて再投資に回すパイロットがベストです。
スライムはパイロットにレベルアップして欲しい
スライムは他のスライムと争い合っていますから、少しでも早く大きくなろうとします。
なのでスライムは、パイロットにはスライムに奉仕するための能力をどんどん高めていって欲しいと考えています。
お金を儲ける能力やお金を集める能力などを高めて、レベル1のパイロットからレベル2、レベル3へと、どんどんレベルアップして欲しいのです。
また、金儲けをする組織(あるいは装置)としてもレベルアップしていくことをスライムは望みます。
要するにビジネスを効率化して欲しいわけですね。
スライムがパイロットに求める6つの資質
ここまでの話を踏まえて、スライムがパイロットに求める資質について考えてみましょう。
(以下では良いパイロットの5つの特徴を、それぞれ金儲け、金集め、即行動、周到、質素、と略記します)
1.勤勉さ
スライムのパイロット(資本家)には蟻のような勤勉さが求められます。
スライムへの奉仕(=金儲け)こそが自分の人生で為すべきことだと信じ、常にそれに勤しむ者が優れたパイロットだと言えるでしょう。
スライムへの奉仕は金儲けだけではありません。
金集め、自己開発(レベルアップ)、効率化も同様にパイロットが勤しむべきスライムへの奉仕です。
勤勉さという資質は、良いパイロットの特徴すべて(金儲け、金集め、即行動、周到、質素)につながります。
2.ずる賢さ
パイロットには頭の良さが求められます。
頭の良さと言っても、優等生的な頭の良さではありません。
パイロットに求められるのはゲームが上手いという意味での頭の良さです。
パイロットはスライムを大きくするために金儲けゲームをしているわけですからね。
たとえば、トランプの七並べというゲームで勝つためには、相手が嫌がること(出せるカードを止める)をしてでも自分が有利になるようにゲームを進めますよね。
そういった、ある意味での“ずる賢さ”がパイロットには求められるのです。
ずる賢さはゲームの上手さですから、必ずしも悪いことではありません。
ただし、ずる賢さをどこまで発揮するのかはパイロットによってまちまちです。
労働者の給料を減らしてでもずる賢く儲けるのか。
顧客を食い物にしてでもずる賢く儲けるのか。
違法な行為をしてでもずる賢く儲けるのか。
環境を破壊してでもずる賢く儲けるのか。
どうするのがスライムにとってベストかは一概に言えません。*4
ずる賢さという資質は、良いパイロットの特徴の金儲け、金集め、周到につながります。
3.能動性
パイロットには能動的であることが求められます。
トップとして組織を率い、スライムの体を操縦しなければなりませんからね。
パイロットにはリーダーシップが求められるということです。
当たり前の話ですね。
能動性という資質は、良いパイロットの特徴の金儲け、金集め、即行動につながります。
4.徹底した合理性
スライムはパイロットに無駄遣いを許しません。
お金を無駄に遣ってはいけませんし、時間を無駄遣いしてもダメです。
これはビジネスにおいてそうであると同時に、私生活においてもそうです。
公私にわたって徹底的に無駄を省き、効率化し、浮いたお金や時間を全て資本への奉仕に振り向けるのが“良い”パイロットのあり方です。*5
徹底した合理性という資質は、良いパイロットの特徴すべて(金儲け、金集め、即行動、周到、質素)につながります。
5.高い説明能力
パイロットには物事を上手に説明する力が求められます。
もう少し具体的に言うと、プレゼン能力やトークスキルが高い方が良いということです。
これらの能力が高いと、自分がして欲しい行動を相手にさせることが出来ます。
顧客には商品を買わせることが出来ますし、投資家や銀行にはお金を出させることが出来ます。
高い説明能力という資質は、良いパイロットの特徴の金儲け、金集めにつながります。
6.不屈の精神
スライムたちはお互いに争い合っていますから、ゲームに勝ち続けてどんどん大きくなっていくスライムもいれば、ゲームに負けて死んでしまうスライムも数多くいます。
しかし、スライムが死んでもパイロットは死にません。
スライムを死なせてしまっても、諦めさえしなければ何度でもパイロットになることが出来るのです。*6
失敗を繰り返してその度に学び、パイロットとしてのレベルを上げていく。
そのような不屈の精神が、良いパイロットに求められる資質です。
不屈の精神という資質は、良いパイロットの特徴の金儲け、金集め、即行動、質素につながります。
おわりに
今回は、スライムにとって“良い”パイロットの特徴と、その特徴につながる資質を考えました。
貴方はスライムがパイロットに求める6つの資質のうち、いくつを持っていましたか?
筆者は1つでした。
資本家には向いていないようですね。
次回は、スライムにとってどんな労働者が都合がいいのかを考えます。
*1:前回の記事を書いた時点では、操縦者ではなく制御者と書いていました。同じ意味ですが、操縦者(パイロット)とした方がより分かりやすいので変更します。
*2:ここで言う資本家とは機能資本家(実際に資本を操縦してお金を儲ける人)のことです。ただお金を出資しただけで利益を得る無機能資本家のことではありません。
*3:銀行からお金を借りても資本は大きくならないのでは、と思われたでしょうか。それは会計用語の資本金の話ですね。マルクスのいう資本は会計用語で言えば使用総資本(総資産)に相当します。
*4:たとえば違法行為をしてお金を儲けたとしても、それが全く発覚しないのであれば、スライムにとっては何の問題もありません。
*5:ただし、資本家としてのレベルがある程度上がれば、私生活における少々の無駄は許容されます。
*6:諦めたらそこで試合終了です。