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経済学を疑え!

お金とは一体何なのか?学校で教えられる経済学にウソは無いのか?真実をとことん追求するブログです。

銀行がキャッシュ・フロー計算書でつく“ウソ”とそのツジツマ合わせとは

「銀行のキャッシュ・フロー計算書では、キャッシュ・アウトにならないものをキャッシュ・アウトにしているから、そのままでは計算が合わなくなる、という話を前回したよね」

「そうだったわね」

「どうやってツジツマを合わせているのかは、一枚の簡単な図を使って説明できるよ。この図を見て」

「ふむ」

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「銀行は日々、膨大な数の取引をしているんだけど、それぞれの取引を、この図を使って4つに分類しよう」

「取引を4つに分類?」

「そう。まず、ある取引がキャッシュを増減させるなら赤い円の中に、そうでないなら赤い円の外に出す」

「ふむ。キャッシュというのは日銀券と日銀当座預金のことね」

「その通り。さらに、その取引が預金を増減させるなら青い円の中に入れる。そうでないなら青い円の外に出す」

「ふむふむ」

「一応言っておくけど、預金というのは預金通帳や銀行のコンピュータに打ち込まれてる数字のことだからね」

「分かってるわ」

「うん。そうすると、銀行の全ての取引はA,B,C,Dの4つのエリアのどこかに入るよね」

「そりゃそうでしょうね」

「Aのエリアには、預金を増減させるけど、キャッシュは増減させない取引が入る。たとえば、銀行員への給料の支払いや、預金への利息の支払いなんかだね」

「ふむ」

「右にあるCのエリアには、キャッシュを増減させるけど、預金は増減させない取引が入る。たとえば、他の銀行からキャッシュを借りたらここだよ」

「ふむふむ」

「真ん中のBのエリアには、キャッシュが増減すると同時に預金も増減するような取引が入る。顧客の現金の預け入れ、引き出し、他行の口座への振り込み、他行の口座からの振り込みだね」

「なるほど。A,B,Cのどこにも入らない場合は、外側のDのエリアってわけね」

「そういうこと。Dのエリアには、預金もキャッシュも増減しないような取引が入る。減価償却とかだね」

「ふーん。ゲンカショウキャクってのは良く分からないけど、とにかく4つのエリアのどこかに入るってことね」

「うん。それでね、キャッシュ・フローというのはキャッシュの増減のことだから、BとCのエリアに入る取引を合計すれば分かるでしょ」

「そりゃそうね」

「だから、銀行のキャッシュ・フロー計算書を作るなら、BとCのエリアの取引を全て書いて合計すればいい話なんだ。Aのエリアの取引はキャッシュ・フローには全く関係ない」

「ほほう」

「ところが実際は、キャッシュ・フロー計算書にAのエリアの取引が出てくるんだ。IFRSのスタッフ・ドラフトでも、Aのエリアの取引をキャッシュ・イン、キャッシュ・アウトとして表示するべきと書いてある」

「本来は無関係なのに、キャッシュ・インやキャッシュ・アウトにしちゃうから、ツジツマ合わせが必要なのよね」

「そう。どうすればいいか分かる?」

「うーん……」

「スタッフ・ドラフトにはこう書いてあるよ。『これらの取引を相殺するものは預金の純増減である』と」

「預金の純増減……?」

「青い円の中の取引を全て合計すれば、預金の純増減になるよ」

「うーん、分からない……」

「じゃあ、もう一つヒントをあげよう。実際のキャッシュ・フロー計算書には、Bのエリアの取引は全く出てこないんだ」

「全く出てこない?実際にキャッシュが増減するのに?」

「そうだよ」

「Bのエリアの取引は入れなきゃいけないのに無くて、Aのエリアの取引は入れちゃいけないのに入れてるのか……。そしてAとBを足せば預金の純増減になる……」

「うん、かなり答えに近づいてきたよ。もう一つヒントをあげようか」

「うん」

「預金の純増減は、なにも青い円の中の取引を全部足すなんて面倒なことをしなくても分かるんだ。期末の預金残高から期初の預金残高を引けばいいだけだからね」

「そうなの?じゃあ簡単じゃない。預金の純増減からAのエリアの合計を差し引けば、Bのエリアの合計が出てくるわ」

「はい、正解!」

「Bの合計が出たら、あとはCのエリアの取引も合計すれば、キャッシュの純増減が出せるってわけね」

「そういうこと。実際には、預金の純増減をキャッシュ・フロー計算書に載せて、Aのエリアの取引は符号を逆にして載せていくんだ」

「ふーむ。どうしてこんな風に計算してるのかな」

「理由はいくつか考えられるけど、ひとつは、単純にこうする方が簡単だからだよ」

「そうなの?面倒なことやってる気がするけど」

「詳しくは省くけど、特に、複数の銀行の連結キャッシュ・フロー計算書を作る時の処理が簡単になるね」

「そうなんだ。他にも理由があるの?」

「他の理由としては、こういう計算にすることで、Aのエリアの取引がキャッシュ・フローに影響するような印象を与えることが出来る、ということがあるね」

「うーん」

「実際には、Aのエリアの取引は、キャッシュ・フローと全く関係がないんだけどね」

「そうなのかな」

「例えば、銀行員への給料を1億円増やしたとしたら、その分だけ『預金の純増減』も増えるから、結局キャッシュ・フローは変わらない」

「なるほど…」

「銀行員にいくら給料を払おうが、預金金利をいくら払おうが、住宅ローンでいくら貸そうが、キャッシュ・フローには関係が無いということが、もしキャッシュ・フロー計算書から明確に分かったとしたら、どう思う?」

「うーん……銀行の商売ってなんなんだろ、って思うわ」

「そうだよね。その疑問を突き詰めていくと、どうしても銀行業という商売の本質的な詐欺性に突き当たってしまう。銀行としては考えてほしくないところだよね」

「ふーむ、だから、上手くごまかしてるってわけか…」

「もちろん、銀行の商売は違法ではないけどね。我々は、銀行業の本質的な詐欺性について正しく認識する必要があるよ」

「どうして?」

「認識しなければ、銀行に搾取される一方だからね」

「ふーむ」