「今回は、オンラインカジノの経営について考えてみよう」
「ふーん。オンラインカジノって、儲かるのかしら」
「実際のカジノもかなり儲かってそうだからね。オンラインなら経費が少なくて済むから、さらに儲けやすいかもね」
「カジノって何で儲けてるの?」
「簡単に言うと、手数料だね。カジノは勝った人から少しずつ手数料を取ってるんだ」
「なるほど。手数料で集めたお金から、いろんな経費を払って、残りが儲けになるってことね」
「そうだよ。まっとうなカジノならね」
「まっとうじゃないカジノもあるの?」
「例えば、イカサマをしてるカジノもあるかも知れないよね」
「ああ」
「カジノがイカサマをしてプレイヤーを負けさせれば、その負け分がまるまるカジノの儲けになる」
「オンラインの方がカジノ側のイカサマはしやすいからね。その可能性は常に考えておいた方がいい」
「ふむ」
「でも今回は、イカサマの話は主題じゃないんだ。オンラインカジノはイカサマはしていないと仮定しよう」
「じゃあ何の話?」
「プレイヤーからの預り金を混同管理しているオンラインカジノの話だよ」
「混同管理、ってなんだっけ」
「僕の造語だけどね。預かった資産を自社の資産と分別して管理せずに、自社の資産とごっちゃにして管理することだよ」
「ああ、そうだったわね」
「混同管理をしている場合、経営の見方がかなり変わってくる」
「どうして?」
「さっき言った手数料の話だけど、例えばあるゲームで10ドルの手数料を徴収するとするよね」
「ふむ」
「その時、分別管理している場合は、プレイヤーのお金として管理している口座から、自社の口座に10ドルを移すことになる」
「ふむふむ」
「ところが、混同管理している場合はこのようなお金の移動はしないんだ。そもそも全て自社の資産として扱っているからね」
「なるほど」
「そうすると、手数料が発生しても自社のお金は増えていないように見える」
「うーむ。そうだとすると、どんな時に自社のお金が増えたように見えるの?」
「プレイヤーがお金を預け入れた時だよ」
「えー?プレイヤーが預け入れたお金がオンラインカジノの儲けになるってこと?」
「うん、会計的には利益じゃないけど、実質的には儲けになるね。そのお金で社員に給料を払うかも知れないし、キャバクラに行くかも知れない」
「えー、それってずさんすぎない?」
「ずさんだね。でも、混同管理ってのはこういうことだよ」
「でもさぁ、預かったお金は最終的には返すんでしょ?だったら儲けにはならないでしょ」
「混同管理をしている時点で、事業をきれいにやめることは考えていないんだ。つまり、預かったお金を最終的に全て返すことは最初から想定していないんだよ。悪質でしょ?」
「悪質~!そんなオンラインカジノって実際にあるの?」
「過去には、破綻してお金を引き出せなくなったオンラインカジノはいくつもあるよ」
「例えば?」
「日本語対応のオンラインカジノでいうと、2005年に破綻したココカジノや、2009年に破綻したお台場カジノなんかがあるね」
「そうなんだ…。せっかく勝ってても引き出せなくなったら意味ないよね。見分け方とかあるの?」
「うーん、入金を儲けと見るなら出金は損失だからね。少しでも出金を渋るようなところは危ないだろうね」
「ふむふむ」
「あとは、実業を営んでいる企業が所有しているようなオンラインカジノなら、夜逃げのようなことはしにくいから、安心できるかもね」
「なるほど」
「参考までに、まっとうなオンラインカジノと悪質なオンラインカジノで、何をキャッシュインと見て何をキャッシュアウトと見るかをまとめておくよ」
「キャッシュイン?」
「お金が入ってくることをキャッシュイン、お金が出ていくことをキャッシュアウトと言うんだ」
「ほう」
まっとうなオンラインカジノ(分別管理) | 悪質なオンラインカジノ(混同管理) | |
手数料の徴収 | キャッシュイン | アカウントの数字を減らすだけであり、キャッシュインにならない |
入金 | 入金されたお金は別管理するため、キャッシュインにならない | キャッシュイン |
出金 | 別管理しているお金を出金するため、キャッシュアウトにならない | キャッシュアウト |
カジノ内マネーのプレゼント(ボーナス) | キャッシュアウト | アカウントの数字を増やすだけであり、キャッシュアウトにならない |
カジノ内マネーの貸し付け | キャッシュアウト | アカウントの数字を増やすだけであり、キャッシュアウトにならない |
カジノ内マネーの返済を受ける | キャッシュイン | アカウントの数字を減らすだけであり、キャッシュインにならない |
広告費、給与など、諸経費の支払い | キャッシュアウト | キャッシュアウト |