経済学を疑え!

お金とは一体何なのか?学校で教えられる経済学にウソは無いのか?真実をとことん追求するブログです。

成らない、交換

「一万円札には価値が無いという話、なんとなく分かったような気がしてきたわ」

 

「そりゃ良かった」

 

「でも実際、一万円札を出せば、一万円分の価値のあるモノと交換できるじゃない」

 

「そうだね」

 

「ってことは、一万円札には一万円分の価値があるってことにならない?」

 

「普通はそう思うよね。でもそれは錯覚だよ」

 

「どういうこと?」

 

「金と交換できる兌換紙幣の場合、紙幣自体に価値があるから、紙幣とモノを交換するのは等価交換だね」

 

「うん」

 

「でも、不換紙幣の場合は、紙幣とモノの交換は等価交換じゃないんだ」

 

「じゃあなんなのよ」

 

「半交換とでも言うべきかな。交換はまだ終わってない」

 

「はぁ?」

 

「えーっとね、物々交換を考えてみよう。僕が持っている肉と、君が作ってるお酒を千円分ずつ交換したいとするよね」

 

「うん」

 

「君のお酒が出来上がるのは一週間後なんだけど、君は今すぐ肉が欲しい。どうする?」

 

「うーん、一週間後にお酒を渡すことを約束して、肉を渡してもらうかな」

 

「『口約束じゃ信用できない』と僕が言ったら?」

 

「うーん、『お酒を千円分渡します』って紙に書いて、サインでもして渡すわ」

 

「それならいいね。僕が受け取ったその紙を、一週間後に君のところに持って行って、お酒と交換してもらう。これで、肉とお酒の交換が完了するわけだ」

 

「そうね」

 

「ということは、肉と紙を交換した時点では、交換は完了してないよね。交換の半分が終わっただけだ」

 

「うーん、でも、その紙は千円分のお酒と交換できるんだし、千円分の価値があることにならない?」

 

「例えば、お酒を渡してもらう前に君が姿を消してしまったとすると、僕は肉を失っただけになってしまう。交換は終わってなかったってことだよ」

 

「そうね…」

 

「これが兌換紙幣だったら、金と交換できるから、君が消えても何も困らない。交換は完了してるってことだ」

 

「だから紙との交換は半交換ってわけね。それは分かったわ。でも私が書いた紙はお金じゃないわよ」

 

「君が書いた『お酒を千円分渡します』って紙は、商品券みたいなものだ」

 

「商品券?」

 

「例えば、Aさんが魚を千円分持っていて、僕がそれを欲しいと思ったとする」

 

「うん」

 

「もしAさんが君のお酒を良く飲む人なら、この紙と魚との交換に応じてくれるだろう」

 

「まぁ、そうね」

 

「皆が君のお酒のファンで、君が信用のある人なら、君の『お酒を渡します』と書いた紙は商品券として流通しうる」

 

「そうかもねぇ。でも、お酒を飲まない人は受け取ってくれないんじゃない?」

 

「そうだね。この商品券をもっと便利に、いつでもどこでも使えるようにしたものが不換紙幣だと思ってよ」

 

「うーん、でも私はお金は作れないわよ」

 

「お金は銀行しか作れないことになってるから、銀行に代わりに作ってもらうしかないね」

 

「私が商品券を作ることと、銀行からお金を借りることは全然違うでしょ」

 

「同じことさ」

 

「なんで?」

 

「商品券を作って誰かに渡す(何かと交換する)ってことは、将来お酒を作って渡すという、債務を負ったってことだよね」

 

「まぁ、そうなのかな」

 

「銀行からお金を借りて誰かに渡す(何かを買う)ってことは、将来(お酒を作って換金して)銀行にお金を返すという、債務を負ったってこと。同じことだよ」

 

「うーん……」

 

「結論としては、不換紙幣には価値は無く、紙幣でモノを買った時点では交換は完了してないってことさ」

 

「うーん……」