経済学を疑え!

お金とは一体何なのか?学校で教えられる経済学にウソは無いのか?真実をとことん追求するブログです。

利益と健康のジレンマ:巨大製薬企業の原罪

はじめに

今回の記事では、ビッグ・ファーマと呼ばれるような巨大な製薬企業は生まれながらにして罪を背負っているという話をします。

どのような罪かと言うと、人々を不健康にし、病気にするという罪です。

何を言っているのか分からないかも知れません。

常識的に考えれば製薬企業が作る薬は病気を治すものですから、意味が分からないのも当然です。

順に説明していきましょう。*1

 

 

企業の目的は利益

製薬企業は営利企業(以下、企業と書きます)です。

企業は利益を追求し、利益を蓄積して常に大きくなろうとします。

ここに異論は無いでしょう。

企業はどうやって利益を得るかというと、商品を作って売ったり、商品を仕入れて売ったりして利益を得ますよね。

商品は最終的に消費者が買って消費します。

では、消費者はなぜ商品を買うのでしょうか。

 

消費者はなぜ商品を買うか

消費者は別に、企業に利益を与えてあげようと思って商品を買うわけではありませんよね。

自分が幸せになるために商品を買うのです。

幸せになるというのは、美味しいと感じたり、満足感を得たり、生活を快適にしたり、気持ちよくなったり、苦痛を取り除いたりといったことです。

私たちは幸せになるために商品を買うのであって、不幸になるために商品を買う人はいません。

 

企業が利益を得れば人間が幸せになるわけではない

では、企業の立場で考えたらどうでしょうか。

企業は消費者を幸せにすることを目的として商品を売るのでしょうか?

そうではありません。

企業は利益を得るために商品を売るのであり、売れさえすればそれで良いのです。

消費者が実際に幸せになるかどうかは、企業にとってはどちらでも構いません。

もちろん、顧客満足度を高めてリピートしてもらおう、というモチベーションが企業側にあることは良くあります。

その場合、少なくとも短期的には消費者を実際に幸せにするでしょう。

たとえば貴方は二郎のラーメンが好きで良く食べるとします。

ラーメンを食べるたびに貴方は幸せになりますが、頻繁に食べて健康を害し、結果的に病気になるかも知れません。

そのような最終的な不幸に関しては、店側にとってはどうでも良いのです。

企業は利益が得られれば良いのであり、消費者が実際に幸せになるか不幸になるかはどちらでも構いません。

同様のことは、アルコール産業、タバコ産業、ギャンブル産業などにも言えます。

パチンコ店は客が万札をどんどん突っ込んでくれればそれで良いのであり、客とその家族が不幸になる可能性にはほとんど関心がありません。*2

企業が利益を得たからといって消費者が幸せになるとは限らないのです。

 

幸せになると“思う”から買う

私たちは、商品を買えば幸せになると“思う”から買うのであって、実際に幸せになるとは限りません。

「幸せになる」と「幸せになると“思う”」を、私たちは特に区別して考えてはいないでしょう。

しかし、企業側からするとこの“思う”の部分が非常に重要です。

自社の商品を買えば幸せになると消費者に思わせることに成功すれば、その商品は半分売れたも同然だからです。

ですから企業側は、商品を買えば幸せになると消費者に思わせることに全力を注ぎます。

その手段が広告であり、セールストークです。*3

たとえば、水素水という商品があります。

「水素水を飲むと健康になる」という話が本当かどうかはさておき、消費者がこの話を信じれば買いますよね。

だから売る側としては、「水素水を飲むと健康になる」と人々に信じさせることに全力を注ぐわけです。

水素水で実際に健康になるかどうかは、企業にとってはどちらでも構いません。*4

宗教団体が信者に「聖なる水」を売りつける場合も、信者がこの聖水を買えば幸せになると思わせることが重要なのであり、実際に幸せになるか否かはどうでも良いことです。*5

 

不都合な情報への対処

貴方は「ホームレスにはハゲが居ない」という話を聞いたことがあるでしょうか。

データがあるわけではないのですが、確かにホームレスと言えば髪がフサフサしているイメージがあり、ハゲたホームレスは見たことがない気がしますよね。

実は、毎日シャンプーで髪を洗うとハゲやすいという話があるのです。

ホームレスはシャンプーで髪を洗わないからハゲないのだというわけです。

この話の真偽はさておき、シャンプーを売る企業からすれば都合の悪い話です。

私たちは頭を洗うのにシャンプーを使うのは当然のことだと思っているし、シャンプーで毎日頭を洗えばいくらか幸せになると思っているからこそ、シャンプーを買うのですよね。

もし「シャンプーがハゲを作る」という話を私たちが信じてしまえば、多くの人はシャンプーを買わなくなるでしょう。

企業側としては、この話にどう対処するでしょうか。

この話が人々に広まらないように、マスコミに圧力をかけるでしょう。*6

話がある程度広まってしまった場合には、この話がデマであると人々が信じるように誘導するでしょう。*7

もしかしたら、研究者に資金を提供して「毎日シャンプーしてもハゲない」という論文を書かせるかも知れません。

人々がどんな話を信じるのかが、企業にとっては重要なのです。

 

製薬企業の場合

前置きが長くなってしまいましたが、製薬企業の話に戻ります。

ここまでの話を製薬企業に当てはめれば、以下のようなことが言えるでしょう。

 

  1. 製薬企業の目的は人々の健康ではなく利益
  2. 製薬企業が利益を得たからといって、患者が健康になるとは限らない
  3. 製薬企業は「薬を買って飲めば健康になる」という話を人々に信じさせることに全力を注ぐ
  4. 薬についての不都合な情報があれば、出来るだけ広まらないようにコントロールし、広まった場合はその情報はデマだと人々が信じるように誘導する*8
  5. 病気や薬について、人々がどんな話を信じるかが製薬企業にとって重要*9
  6. 製薬企業にとっては、薬を飲んだ人が実際に健康になるかどうかはどちらでも構わない……??

 

6番目は「消費者が幸せになるか不幸になるかはどちらでもいい」ということですが、実は巨大な製薬企業の場合は事情が異なります。

巨大製薬企業は、人々が健康になっては困るのであり、むしろ薬によって健康を害して欲しいのです。

そんなバカな!と思うでしょうか。

 

 

皆が健康になれば製薬企業は潰れる

極端なケースを考えれば分かります。

世界中の人々が全て健康になり、老衰や事故などでしか死なない世の中になったとしたら、製薬企業は薬を売ることができなくなりますよね。

製薬企業の顧客は病気の人間であり、どんどん人々を健康にしていくと顧客が減っていき、自分の首を絞めることになるのです。

企業は常に売り上げと利益を拡大しなければなりませんから、顧客である病気の人間を増やしていかなければなりません。

つまり巨大製薬企業には、薬によって病気を(根本的には)治さないようにしよう、(副作用によって)より不健康な状態にしよう、というモチベーションがあるのです。*10

信じられないでしょうか。

もう少し具体的な薬の話をすれば納得してもらえるかも知れません。

 

薬は病気を治さない

たとえば、降圧剤という薬があります。

これは高血圧症という“病気”を治す薬だとされ、血圧がある水準より高い人に処方されます。*11

しかし、血圧が高い状態というのは本来“病気”と呼ぶべきものではなく、“症状”と呼ぶ方が適切です。

何らかの原因があって、血圧が高くなるという症状が出ているのですよね。

ですから、血圧を高くしている原因の方に対処するべきであって、薬で人為的に血圧を下げることに意味はありません。

意味が無いどころか、有害なのです。

薬には必ず副作用があるのですから。*12

 

 

対症療法のおかしさ

たとえば、具合が悪いと訴える患者がいたとして、多量の汗をかいていたとしましょう。

異常な発汗は“症状”です。

この症状を見て、「大変だ!汗の量が多すぎる!」と言って、汗の量を減らす薬を飲ませるでしょうか。

そんなわけないですよね。

あるいは、患者の呼吸が荒くなっているのを見て、「大変だ!呼吸数が多すぎる!」と言って、呼吸数を抑える薬を飲ませるでしょうか。

これもおかしな話だとすぐ分かるはずです。

汗を大量にかくのも、呼吸を荒くするのも、そうした方がいいと身体が判断してそうしているのです。

それを邪魔することは有害でしかありません。

当たり前ですよね。

それと同様に、血圧が高くなるのはそうした方がいいと身体が判断してそうしているのです。

これを薬で人為的に邪魔することは有害でしかありません。

結局のところ、製薬会社は高血圧症という“病気”をねつ造し、治療と称して降圧剤なる薬を売りつけ、人々をより不健康にしているのです。

人を不健康にする薬は降圧剤だけではありません。

コレステロールの数値を下げるスタチンという薬もそうですし、抗がん剤もそうです。

興味があれば一度調べてみてください。

 

誰が経営しようとも

私は巨大製薬企業が悪人によって経営されている、この悪人を逮捕して投獄せよ、という話をしているのではありません。

誰が経営しても同じことをするのです。

私が経営しても同じことをしますし、貴方が経営しても同じことをするはずです。

もちろん、経営者として「私は人々を健康にしたい。人々を健康にする薬を作ろう」と主張することは可能です。

しかしそれは、「薬の市場をぶち壊そう。製薬のビジネスモデルを破壊しよう。業界全体を巻き込んで衰退の道に入ろう」という意味なのです。

そんなことを言えば、他の役員達や大株主から「気でも狂ったのか?」という目で見られ、あっさり解任されてしまうでしょう。

そして、他の“適任な”経営者が選ばれるだけなのです。

もう一度言いますよ?

巨大製薬企業の経営者は、「人々を健康にしよう」と本気で主張すると、キチガイ扱いされるのです。

実際には”適任な”人間が経営者の椅子に座っていますから、巨大な営利企業が製薬ビジネスを行っている時点で、その企業は人々をより不健康にしよう、病気にしようとしてしまうのです。*13

これが「巨大製薬企業は生まれながらにして罪を背負っている」という言葉の意味です。

人々を病気にしようとする経営者を“悪人”と呼んで差し支えないのは確かですが、根本的にはシステムの問題なのです。

利益を追求するために様々なことを犠牲にする資本主義のシステムそれ自体も問題です。

しかし仮に百万歩譲って資本主義のシステムを容認したとしても、製薬(および医療)を営利企業に任せるべきではないのです。

 

最後に、R.F.ケネディJr.の言葉を引用して締めくくりましょう。

(製薬業界は)ワクチンを売って年間600億ドル稼ぎ、ワクチンによる傷害の治療薬を売って年間5,000億ドル稼いでいる

これら企業にとって本当に素晴らしいビジネスプランだ
『人々を病気にし、そして生涯の治療法を教える』

 

 

*1:この記事で「薬」と呼んでいるのは現代医学でいう薬のことであり、漢方薬などは含んでいません。ワクチンなどの予防薬は、もちろん「薬」に含まれます。

*2:トイレで自殺でもされたら面倒くさいなぁ、という程度のことです。

*3:インフルエンサーからの発信も手段のひとつです。

*4:ただし、害があると後々面倒ですので、無害である方が良いでしょう。

*5:誰かがなんらかの偶然で実際に幸せになればそれは「体験談」となり、他の人を信じさせるための材料となるでしょう。

*6:だから、テレビで「ホームレスにはハゲが居ない」という話をすることは無いのです。

*7:X(Twitter)なら「そのようなエビデンスはありません」というコミュニティノートが付くはずです。

*8:高価な新薬を売る製薬企業にとって、安価な既存薬で病気を治せるという情報は非常に不都合であり、エビデンスをねつ造してでもデマだと決めつけるでしょう。

*9:新型コロナワクチンを打とうと決めた時、貴方は新型コロナやワクチンについて、どんな話を信じていたでしょうか?

*10:ここで“巨大”製薬企業には、という風に限定したのは、ごく小さな製薬企業の場合には実際に顧客をある程度健康にしても、全体的な人々の健康状態にはあまり影響しないという事情があるからです。国中の人々、あるいは世界中の人々の健康状態に影響を与えてしまうような巨大な製薬企業の場合には、人々を実際に健康にしてしまうわけにはいきません。

*11:処方というのは、医者という製薬会社のセールスマンによる薬のセールスです。医者当人には自分が製薬会社のセールスマンだという自覚は無いのですが。

*12:薬は全て毒だと考えておいた方がいいでしょう。やむなく毒を飲むことにメリットがあるケースが無いこともない、という程度のものです。

*13:ファイザー最高経営責任者アルバート・ブーラへのインタビュー動画がここにあります。この動画を見れば、彼が「人々を健康にしよう」などとは全く考えない”適任な”経営者であることが分かるでしょう。